先のブログでご紹介したようにむし歯は予防可能な疾患ですが、むし歯を作る細菌は、お口の常在菌としてほとんどの人の口腔内に存在しており、磨き残しなく歯磨きをするのも簡単ではないので、むし歯は罹患率の高い疾患です。
最近の調査でも(H23,歯科疾患実態調査,厚労省)成人の罹患率は9割を超えている年代がほとんどですから、むし歯予防に力を入れるのは大前提として、むし歯治療を確実に行うことも大切です。
むし歯治療では歯を削る必要がありますが、歯の内部は本来無菌(細菌が全く存在しない)状態です。従って、むし歯治療後は再度無菌の状態にしないといけないのですが、現在日本で多く行われているむし歯治療はこの概念が欠けているように思います。
むし歯の原因菌は目には見えない位小さいですから、目で見えるくらいの汚れが歯の周り(むし歯治療の対象歯以外でも)に付いている状態は無数の細菌が口腔内に存在していることになります。その状態でむし歯治療をしても無菌状態にすることは非常に難しいので、早い時には2−3年くらいで治療した部分が再びむし歯になってしまう例もあります。このため当院では強い痛みがないなど緊急性が低いむし歯治療はお口全体のクリーニング後に行います。汚れの程度が強い方の場合には3-4回のクリーニングを優先することもあります。
むし歯の進行は、始まってから目に見えるくらいの穴があくまで数年かかることが一般的です。つまり、穴が開いた状態が発見された時点でそのむし歯は数年放置された状態ですから、数回のクリーニングを優先してもそれが原因で致命的にむし歯が進行してしまうことはありません。治療期間や回数は少なくなるようにしておりますが、それ以上に健全な状況が長期に維持される治療結果を当院は大切にしています。
もちろん痛みがある場合には除痛を優先に、見た目に問題がある場合には見た目の回復をしてからなど、状況に応じて適切な対応に努めておりますのでご安心くださいませ。