お口の中で起こる病気は多くの場合「虫歯」か「歯周病」です。ここで大切な概念はどちらの病気も「細菌」が引き起こす「感染症」ということです。
身の回りには目に見えない多くの微生物が存在していますが、これらの微生物が体内で増殖をして疾病を引き起こす現象を「感染症」といいます。
お口の中にも非常に多くの微生物が生活しており、細菌が病気を起こそうとする力(病原性)がその人の抵抗力よりも強くなった場合に感染が成立するのです。口腔内の細菌は病原性を発揮するために歯の周囲に増殖します。そうして、増殖した菌が歯の内部に侵入したものが「虫歯」、歯の周囲にある骨に侵入したものが「歯周病」です。
歯の周囲に細菌(汚れ)が付着してから、病原性を発揮して虫歯や歯周病を発症させるまでには一定の時間がかかります。細かなメカニズムはとても専門的な内容になりますのでここでは省きますが、だいたい90日経つと歯の周囲の細菌は病原性を持つまでに成熟するとも言われています。
ですから、病原性を細菌が発揮する前に細菌のかたまりを壊してしまえば虫歯や歯周病が発症する可能性がとても低くなるのです。どんなに歯磨きを上手に行っても完全に虫歯や歯周病の菌を自分自身で除去することはできません。これが歯科の定期検診でクリーニングをする理由です。歯科は悪くならないために治療ができる唯一の医療です。
細菌感染を予防するには細菌だけ考えるのではなくその人の抵抗力とのバランスを理解することが重要です。単純なクリーニングだけではその人の抵抗力はわかりませんので、全体的な診査を行って個々に合った予防プログラムを見つけたうえで、定期的なクリーニングを継続することが大切です。
そろそろクリーニングの方はご一考くださいませ。
定期的なクリーニングを受けたことがない方もぜひご相談くださいませ。